ラメリック(嶋田 美津惠)

母からの言葉

ある日ラメリックは、母に頼まれたマヌカハニーを渡すために、渋谷からの帰りに実家へ行きました。

ラメリックの実家は京王井の頭線の渋谷と吉祥寺の間の、吉祥寺側にあるので、渋谷からの帰り道によく寄ります。

その日ラメリックは渋谷東急東横店で夕食の一部を買い、オマケにわらび餅も買いました。

実家へ寄るのがわかっていたので、母にも水ようかんを買いました。

実家に寄り、母と話し、マヌカハニーも水ようかんも渡した後に、吉祥寺の足裏マッサージを30分後に予約しました。

予約の電話を切ったと同時に、梅田店のご近所から毎日定例の報告電話が来ました。

報告電話をしている間に最寄り駅に歩いていかないと、足裏マッサージに間に合わないので、母に別れを告げ駅まで歩きながら話しました。

ご近所の後にこたつ猫とも話し終わり、ちょうど来た吉祥寺行きの普通電車に乗り込みました。

全てが予定通りに行っていると思った次の瞬間、渋谷東急東横店の袋がないことがわかりました。

電車の中から母に電話をすると、
「あなたどこにいるのよ~。ずっとあれから電話しているのに~。忘れた荷物を今から駅に持って行くから~」

ラメリックも
「お母さん、どの道からくるの? 了解。では、わたしも隣りの駅から引き返して、駅を出てその道を歩いて行くからね~。」

そう告げると、次の駅で降りて、ちょうどホームに入ってきた逆側の電車へ乗り込みました。

「よかった~、すぐ電車が来てくれてついているな~」と思った瞬間、自分がまたやらかしたことに気付きました。

ラメリックが乗り込んだ電車は普通ではなく急行でした。次にとまる駅は4つも先です。

実家の駅を通り越した時に、また電車の中から母に電話をしました。今度は何度鳴らしても母は出ません。携帯電話を持たずに出かけたのは、明らかでした。

母の携帯電話は必ずと言っていいほど、出かける時は自宅に置いてあります。携帯電話の意味をいつか伝えないといけないと思いながら、急行電車がとまった駅で降りて、階段を駆け上がり反対側のホームで電車を待ちました。もう母はとっくに駅に着いているはずです。

ホームから普通電車に乗って、4つ先の駅で降りて、また階段を駆け上がり、改札へ行くと、改札から少し離れた場所に立っている母を見つけました。

「あなた何をやっていたのよ~。どこへ行っていたの?」

本当にもっともなご意見です。

「お母さん、ごめんね~。隣りの駅で乗り込んだ電車が急行だったの~。だから永福町駅の往復をしてきちゃったんだ~。待たせてごめんね~。」

「お年寄りに苦労をかけて申し訳なかったな~と思って、電車の中で反省してたんだ。でも、お母さん、携帯電話を携帯してほしいんだ~(笑)。」

「あら、わたしも思ったのよ。こんな時に電話があれば、って。でも、あなたって、すごい、おっちょこちょいだったのね~(笑)。」

ラメリックは絶句しました。
こんなに、おっちょこちょいで有名な自分の娘の性格を、母は今ごろ気付いたのでしょうか?それとも、当てつけだったのでしょうか?

この日、母に渡した水ようかんが美味しそうだったので、後日、ラメリックもヒゲラメと食べるために、2つ買いに行ってきました。

今回は無事に持って帰ることが出来ました。

水ようかん

2つ並べて撮ろうと思ったらヒゲラメが既に食べ始めていました…

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