ラメリック(嶋田 美津惠)

母といとこの温泉旅行

ラメリックは母を連れてこの夏また、群馬県の草津温泉へ行って来ました。

昨年、草津温泉へ行ったときは、東京が猛暑で38度の日々が続いていました。すごいタイミングで避暑が出来たと、母はとても喜んでいました。

ラメリックはまた母を喜ばせようと草津行きの山を張りました。そうして、今年の草津行きを7月の終わりに決めてしまいました。ラメリックは、暑くなるのが年々早くなっている気がしたんです。

ところが、今年は関東の梅雨明けは遅くなり、出発初日は雨になりました。東京も涼しく全く避暑の必要がなく、ラメリックの山は大外れでした。

しかし、晴れたとしても雨だとしても、草津温泉でやることはあまり変わらないことに気づきました。

温泉に入って、宿が用意してくれたご飯をいただいて、また温泉に入ります。昼は宿でゴロゴロするか湯畑(ゆばたけ)近辺をウロウロするか、カフェに入って仕事か読書をします。朝8時と夕方5時には音楽がなります。

湯畑(ゆばたけ)

湯畑(ゆばたけ)

「草津よいとこ~、一度は~おいで~どっこいしょ~」

草津節のメロディーが鐘の音になって草津温泉中に響きわたります。最初の頃は、音量が大きくて驚いていたのですが、日に日にそれも慣れていって、帰る頃には、この鐘の音を待つようになってしまいます。

今年は母が大好きな姪(めい)も誘い、ヒゲラメと4人旅になりました。母にとっての姪はラメリックにとっては従姉(いとこ)です。母の姉の娘で、ラメリックより20歳近く年上なので、母の気持ちがよくわかり、母にとっては最高の話し友達です。宿に着くと、2人はほとんど出かけずに、自分たちの部屋で、いつまでも話しをしていました。

戦時中、母は従姉を背中におぶって、学校に通っていたそうです。従姉もラメリックの母のことを育ての親と慕っていました。2人のそんな関係をラメリックは小さいころから知っていました。そして母はいつも、その従姉と「いつか、しゃべり飽きるほどしゃべってみたい」とラメリックにいっていました。

今年の夏、その夢は実現しました。

そんな夢が実現出来たのは、お互い伴侶を亡くし、子供も手が離れ、そろそろ自分のことを優先にしていいと、自分自身に許可を出せたからなのかなと思います。

母は83歳、従姉は71歳。2人はちょうど一回り歳が違うので同じ干支です。

行きの電車から帰りの電車まで話しが尽きることはなく、お互いが知らないと思われる今までの人生の情報の全てを語り続けているようでした。多分、この2人は他の誰かに聞いてほしいとは思っていなくて、お互いがお互いに話したいと思っていたのでしょう。3泊4日の滞在だったのですが、朝は5時台から夜遅くまで2人で話し通しだったようです。

宿で母にとって人生初の足湯(あしゆ)

宿の足湯(あしゆ)

母と従姉はどちらも、息子一人と二人暮らしをしています。

ラメリックが、まず母に「今年の草津は従姉と4人で行こう」と、話しを持って行った時に一番よろこんだのは、母と同居しているラメリックの弟でした。

弟が手放しで喜んで「よかったじゃないか~。おばさんが一緒に行ってくれるなら最高じゃないか~」

その夜、母が従姉にすぐ電話をして、従姉も喜んでいたのですが、また従姉の息子さんが大喜びしたそうです。

草津の帰りに従姉と別れた母は本当にご満悦で、その顔を見ながらラメリックは今までで一番母の役に立てた気になりました。今年の旅は、山を外して避暑にはならなかったけれど、母のこれからの生きていくエネルギーが充電出来たのかもしれません。

従姉には、帰り際に何度もお願いしました。
「来年も、またご一緒して下さい」と。

そして、必ず寄る温泉まんじゅう屋さんの田島屋さんに行き、半額になっている少し皮がやぶれた温泉まんじゅうを買って帰りました。

必ず寄る田島屋さん

田島屋さん

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